健康ニュース
  1999/12月分、2000/01月分

アトピー患者、4割が症状悪化・レーザー治療、民間療法などで
2000/01/29 nikkei

日本皮膚科学会の「アトピー性皮膚炎・不適切治療健康被害実態調査委員会」は28日、アトピー性皮膚炎で入院が必要とされた患者のうち4割余りは、保険適用外の特殊な治療法や不適切な民間療法などを受けたため症状が悪化していたとする調査結果を発表した。同委員会は「過大な広告を掲げて勧誘する悪質な例も目立つ。
専門の医師に十分な説明を聞いた上で治療を受けてほしい」としている。
 調査はアトピー性皮膚炎の治療実態を把握するため、1998年10月から99年9月まで金沢大や東京大など全国11の大学病院で入院が必要と診断された319人の患者について治療の経緯などを調べた。その結果、44%に当たる140人が「不適切な治療」を受けたために症状が悪化したと判断した。
複数回答で原因を集計したところ、食事制限やレーザー治療など医療機関における特殊な療法が33%と最も多く、適切に使えば効果がある副腎(じん)皮質ホルモン(ステロイド)剤を使わない療法、健康食品の利用が続いた。また、化粧水や入浴剤など科学的に効果が証明されていない民間療法による被害も目立った。

高齢者へのインフルエンザ予防接種一部公費負担を 厚生省

2000/01/17 nikkei

厚生省の公衆衛生審議会感染症予防部会は17日、高齢者に対するインフルエンザの予防接種を、予防接種法の対象に加え、接種費用の一部を公費負担とすることを柱とする意見案をまとめた。これを受け同省は、近く開かれる通常国会に予防接種法の改正案を提出する。インフルエンザの予防接種は同法の対象外で、現在、任意で行われているが、法改正により、65歳以上の高齢者に限って同法の対象に加える。

遺伝子治療、学術審専門委員会5件を承認

2000/01/08 nikkei 

学術審議会(文相の諮問機関の遺伝子治療臨床研究専門委員会は7日、名古屋大学病院などの医療機関が申請していた脳しゅようなど5件の遺伝子治療計画を承認した。
厚生省も昨年末に同じ治療計画を承認済み。国の審査はこれで終わり2月にも治療が始まる。承認したのは
1.名古屋大:脳しゅ瘍
2.癌(がん)研究会(東京)による乳がん
3.東北大:肺がん
4.東京慈恵会医科大:肺がん
5.東京医科大:肺がん
脳しゅようと乳がんの治療が承認されたのは国内で初めて。
名古屋大の計画は、悪性の脳しゅようの患者に対し、病巣を攻撃するインターフェロンの遺伝子を直接脳内に投与して、がんの縮小を狙う。
癌研究会は、再発した乳がんの患者を対象に、正常な細胞の抗がん剤の抵抗力を高める「MDRI」という遺伝子を抗がん剤と一緒に投与する。

遺伝子組み換え食品、「安全」表示を義務付けへ  厚生省
99/12/15 nikkei

 厚生省は14日、安全性審査を通った遺伝子組み換え食品について安全を確認済みであることの表示を義務づける方針を決めた。
同省はこれまで任意だった遺伝子組み換え食品の安全性審査を法律で義務づけることにしており、審査結果についても消費者に情報を提供する必要があると判断した。早ければ2001年4月から表示を義務づける考えだ。  
厚生省は食品衛生法に基づく安全性審査の対象食品に遺伝子組み換え食品を追加する。

● 住宅内の有害化学物質濃度、室外の3倍以上  厚生省
99/12/15 nikkei

 新築住宅などで起きる健康被害「シックハウス症候群」との関連が指摘されている揮発性有機化合物44種類について、室外と室内で空気中濃度を調べた結果、ほとんどの物質で室内の方が室外より3倍以上高い値を示し、発生源が室内にあることが、厚生省が実施した初の全国調査で確認された。
特にトルエンの室内濃度は調査対象となった住宅の約6%で、世界保健機関(WHO)の指針値を上回った。同省は「ただちに健康への影響が出るとは考えていない」としながらも、来年4月までにトルエンなど数種類のリスク評価を実施し、室内濃度の指針値を策定する方針だ。
調査は97,98年度に全国の一般住宅385戸を対象に実施、揮発性化学物質の濃度を24時間続けて測定した。WHOが指針値を設けている8物質のうち、トルエン、キシレン、クロロホルムの3物質で指針値を上回る値が検出された。特にトルエンの最高値は空気1立方メートルあたり3389.8マイクロ(マイクロは100万分の1)グラムと、指針値(260マイクログラム)の13倍に達した。

レザー近視治療承認。中央薬事審議会
99/12/9 nikkei

中央薬事審議会の医療機器・体外診断薬特別部会は8日、レーザを使って近視を治おす医療機器の製造を承認した。角膜にレーザーを照射して組織をわずか削って屈折率を変え、近視を矯正する。これまで角膜が変性する病気の治療に使われてきたが、近視治療への適用への拡大を認めた。
治療効果についてメーカーでは、裸眼視力が0.04前後なら0.7程度まで回復できると説明している。ただ角膜を削り過ぎると、目の前が濁ったように見える「混濁」が生じる危険もあるため、同部会は@患者に十分に説明して同意を得る。A対象を20歳以上に限定。B治療後少なくとも7年間は半年ごとの検査を患者に求める。などの使用上の注意を明記するようにメーカーに求めた。
治療費は患者負担で片目20〜30万円程度。

ぜんそくの子供、過去最高。2年続け過去最悪。文部省
99/12/9 nikkei

ぜんそくを患う子供の比率が過去最高となったことが8日、分かった。
幼稚園から高校まで、いずれの学校段階でも上昇。小学校では38人に1人と学級に1人いる計算。小学校では、全国で約19万5千人がぜんそくを患っていると推測される。
ぜんぞくの発作の原因は、
@ダニ、ペットの毛などアレルギー反応を引き起こす物質。
Aたばこの煙など気管支への刺激。
B自律神経失調などの体調の乱れ。
Cストレスなど心理的原因とされる。
一方、虫歯は学校での給食後の歯磨きの推進などで減少。中学1年生では、1人当たり平均2.9本となり、世界保健機関(WHO)の2000年目標値である3本を達成した。
発育状態は、身長、体重の伸びは鈍化する傾向にある。

● 「組織移植」治療で統一基準づくり・厚生省
99/12/3 nikkei

 厚生省は皮膚や骨など人間の組織を患者に移植して治療に役立てる「組織移植」の普及に乗り出す。組織の提供について同意を得る手順や感染症の防止対策などの統一的なルールを示し、安全で透明性の高い治療体制を目指す。全国の医療機関が共同で組織を融通しあう仕組みも検討する。今月中に厚生科学審議会(厚相の諮問機関)に専門委員会を設置し、来年3月までに報告書をまとめる考えだ。
 設置するのは「ヒト組織の移植等への利用の在り方に関する専門委員会」。移植医や感染症の専門家、生命倫理学者など約10人で構成する。委員長には野本亀久雄九州大学教授(日本移植学会理事長)が就く。

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